マウスピース矯正が “実質無料”になるキャッシュバックシステムの問題点
ご存じかもしれませんが、「週刊ダイヤモンド 2022年9月号」では「後悔しない歯科治療」と題して、歯科業界の特集が組まれています。その中で、『マウスピース矯正を利用した詐欺スキーム』ともいえる、デンタルオフィスXにおける集患方法についても2ページにわたって掲載されていました。
こちらは「マウスピース矯正が “実質無料”」とうたって広く患者を集め、デンタルローンで矯正契約をしたのちに、毎月PR費用として顧客に対して分割金額と同額をキャッシュバックする、というスキームでしたが、肝心のキャッシュバックが予定通りに実行されず、患者が結局、契約した費用を全額支払わなければならない状況となったことにより問題が顕在化しました。
著名な歯科医師(インビザラインのレッドダイヤモンド)が広告塔に
また、SNSの情報によれば、患者には「実質無料」と宣伝する一方、通常の矯正契約よりも高額な代金で契約することで、ローン会社からの立替金をより多く集めようとしていた疑いもあるとのことです。被害者は1,000人、被害額は10億円以上にも上ると言われており、今後さらに社会問題化する可能性もあります。そして、著名な歯科医師(インビザラインのレッドダイヤモンド)が広告塔となり、広く宣伝等を行っていた点も問題点として指摘されています。
本件では、そもそも「実質無料」という表現自体が医療広告として問題がある可能性も高いですし、もし本当に通常価格よりも高い価格で契約をしていたとすれば、コンプライアンス上大きな問題となり得ます。また広告塔となっていた歯科医師について、もし同スキームに当事者として関わっていたとすれば大問題ですが、仮に第三者に利用されていただけだとしても、大きく個人の評判を落とすことにつながったものと思います。