歯科医院の多店舗化のメリットデメリット

歯科医院の大型化、多院展開

今回は、経営規模の拡大を考える上で、選択することになる方向性を取り上げる。今から約20年前、多院展開が唯一の「成功モデル」とされていた。どの歯科医院も、同じような保険中心の診療内容で、自費診療と言えば修復・補綴か、矯正くらいだったためだ。そのため、質より量を取らないと収益の最大化ができなかった。

しかし、予防型診療の定着により、環境が変わり始める。定期的に通う患者さまが増加したため、数か月先のアポイントが蓄積するようになったのだ。それに合わせて、医院規模を拡大して、複数の歯科衛生士を雇用し、アメニティを充実させて通いやすさを追求する歯科医院が一気に増えた。

小規模な医院を分院展開するよりも、1か所で管理した方が技術面やサービスレベルについて、経営者が目を光らせやすく、予防型診療を主軸とする大規模医院のメリットが際立つことになった。多院展開より大規模医院の方が、業務をマニュアル化しやすいためだ。

災害などのリスクに直面

こうした大規模化のトレンドは、東日本大震災で一度見直されることになる。当時、計画停電などで診療が長期的にストップしても、人件費やテナント代などの固定費が高額なため、経営が圧迫されたのだ。これは、今回の「コロナ禍」でも同様の事態となっている。

小規模多院展開であれば、こうした事態に対して小回りが利きやすいという面がある。それまで大規模医院特有のメリットだった業務のマニュアル化は、小規模多院展開の法人でも急速に進んだ。受付業務から治療技術、クレーム対応まで、幅広いマニュアルを整備し、分院全てで高いレベルの運営ができるようになった法人が全国に登場。現在は、小規模医院でも付加価値の高いサービスを安定して提供することができるようになっている。

多院展開のマネジメント

こうした多院展開モデルでは、ややもすると分院ごとの医業収入を競争させるケースもあるが、あまりおススメできない。分院を遠隔で管理するのに必要な、安定した信頼関係が失われるリスクがあるためだ。法人、医院の方針を明確な言葉で伝えるとともに、法人のトップが歯科医師として尊敬されることが重要だ。どんな分野でも良いので、スタッフ、特に中堅の歯科医師にとって、トップが「お師匠さん」になっている法人は強い結束力で伸びている。

こうした成功モデルを達成した法人の特徴

  • マニュアル化でクオリティの安定化を図る
  • 医院の運営方針を見える化する
  • 競争よりも調和を目指す組織を作る

上記のような運営をしている共通点が見える。参考にされてはいかがだろうか。

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歯科業界唯一の週刊発行媒体「日本歯科新聞」をはじめ、医院経営に特化した「アポロニア21」の出版など、長い歴史と経験を誇る日本歯科新聞社。アポロニア編集長を務める水谷惟紗久(みずたにいさく)氏に協力を仰ぎこの連載が実現しました。
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