アライナー矯正のビジネスモデル

「矯正」にとどまらない広がりに期待

アライナー矯正のワークフローでは、口腔内スキャナーでの印象データの採取が共通しているが、このデータから歯列異常だけでなく多様な情報を得ることができる。アイデア次第で、歯科医療全体のデジタル化につながる可能性も大きい。例えば、歯列矯正のために口腔内スキャナーやCTで撮影した画像から、根尖性歯周炎の兆候や歯ぎしりの有無など、歯並び以外の歯科的な問題が発見されるケースも少なくない。また、アライナー矯正を提供している企業には他業界からの参入組も多く、「定額制(追加のない料金設定)」を導入するなど、矯正の市場特性に合わせたビジネスを展開。SNSによるコミュニケーションをモチベーションの維持に活用し、「通院が面倒」「装置をつけ忘れる」などの課題を、いとも簡単に解決してきた。
このように、口腔内スキャナーのデータと、患者と医院の双方向のコミュニケーションツールを組み合わせれば、歯科医療そのもののデジタル化が急速に進むとみられる。アライナー矯正のシステムには初診の画像診断、カウンセリング、LINEなどでのフォローアップの基盤があるのが強みとなるからだ。アライナー矯正の専門クリニックと一般歯科医院の連携が進む一方、医院の中でアライナー矯正と一般診療を並行して行っている場合には、矯正目的で受診した人を適切な歯科医療につなげられる。
アライナー矯正は、所定の治療期間が過ぎれば「終了」となるが、予防管理型歯科医療やホワイトニングなどと組み合わせれば、事実上のエンドレスになる。ホワイトニングの場合、オフィスホワイトニング1回の来院で終わる人もいれば、ホワイトニングがきっかけで矯正治療、さらにはメンテナンスでの継続受診につながるケースも多い。アライナー矯正にも同じような事業モデルが考えられるのだ。

 SNS広告をめぐるトラブル

アライナー矯正の普及で広告も変化しつつある。チラシ、雑誌広告、バイブル本発行など紙媒体から、ホームページへ移行し、近年ではSNS広告が増えている。新興アライナー矯正のSNS広告は効果大だが「実質無料なのに多額の請求」「返金モニターの約束が不履行」などのトラブルも多発している。本来、「診療費をおまけします」「キャンペーン実施中」などの広告は、医療法の広告規制により禁止されているが、SNSにまで監視の目が行き届いていない。
一方、広告規制などを遵守する立場にある専門団体からは有効に情報発信できておらず、それらのトラブルに対する注意喚起も実質的な効果は少ない。こうしたことは、医療特有の法規制に精通していない他業種が新規参入する際にはしばしば起こるが、長期的には他業種参入から得られるものは大きく、特にデジタル化による業態変化に期待できそうだ。

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