歯科医院のトピックス

全身の健康に広がる歯科の診断

日本の各大学や企業で、レントゲン画像とAI処理をつなげた診断支援のシステムを開発する動きが加速している。「デンタルから局所の骨密度を測定」(朝日大学+メディア)、「パノラマから歯の位置情報を作成」(兵庫県立大学+ナルコーム)などが実用化段階となっている。

中でも、デンタルから骨密度を測定するシステムは、歯科医院の役割を大きく変える可能性がある。狙った部位の骨密度を瞬時に数値化でき、変化を定量的に追跡したり、平均値を取ったりすることが容易になるためだ。診断データが増えて歯槽骨と大腿骨の骨代謝回転の相関が分かれば、歯科医院で日常的に行われる画像診断から、骨粗しょう症のスクリーニングができるようになる。

ホワイトニングにも遠隔診療?

歯科でもX線画像診断のデジタル化は10年以上前から進んできたが、これまでは「ここにむし歯がある」「歯槽骨が吸収している」など、画像から形態の異常所見を診るという、従来の画像診断の粋を超えるものではなかった。ここにきて、デジタル化の最大のメリットである数値による定量診断が可能になりつつあると言える。数字を見て検査を行うことができるようになるということだ。

このような技術革新は、特に遠隔診療のあり方を大きく変える可能性がある。医科における遠隔診療は定量的な検査数値が支えている。検査数値を多職種で共有することで成り立つ診療形態なのだ。しかし、これまでの歯科医療では、検査によって得られる数値はポケットの深さなどに限られており、歯科におけるオンライン診療の可能性を妨げてきた要因の一つでもあった。画像診断から数値化された明瞭なデータが得られれば、遠隔でも質の安定した診断が可能になり、他科との連携も広がる。

数値化のメリットは、ホワイトニングなどの審美領域でも大きい。「見た目が白い」などといった所見的な診断だけではなく、照度計による診断・評価を行うことができればトラブル回避にもつながる。数値に基づいて「ホワイトニングを継続した方がいい」とか「知覚過敏の可能性が高まりそうなので少し回数を抑えよう」などのアドバイスと合意形成がしやすくなると期待される。

歯科診療の新たなフェーズへ

これまで常識とされてきたことが、数値化によって変わることになる。さまざまな領域でオンライン診療が可能になれば「歯科診療は外来が原則」「訪問診療は高齢者や障害者のためのもの」といった常識も覆され、誰もが便利に、気軽にオンライン診療を受けることができるかもしれない。

もちろん、外来診療でも、新しいシステムを活用することで診断の時間短縮や精度向上が期待でき、骨粗しょう症のスクリーニングのように、医科への信頼性の高い情報提供も可能になる。歯科医療が新たなフェーズに進むきっかけと言えるだろう。

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歯科業界唯一の週刊発行媒体「日本歯科新聞」をはじめ、医院経営に特化した「アポロニア21」の出版など、長い歴史と経験を誇る日本歯科新聞社。アポロニア編集長を務める水谷惟紗久(みずたにいさく)氏に協力を仰ぎこの連載が実現しました。
水谷編集長並びに日本歯科新聞社は、忖度しないメディアとして正しい情報を素早く、わかりやすく読者提供しています。記者によるインタビューや取材記事が中心のため、どの媒体よりも情報を掘り下げ展開されているのが特徴です。今後、ミュゼホワイトニングでもこのニュースレターを皮切りに、歯科医院の未来を見据え、「患者さまから長く支持される医院づくり」をテーマに医院経営に有益な情報を発信していきます。

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