物販力は医院の提案力

セルフケアグッズを「処方」

全国各地の医院に取材に伺ったら、受付周りの物販がどれだけ動いているかを見るようにしている。具体的な販売額はともかく、物販が動いている感じの医院は、それだけ定期受診や自費診療の提案力も高いと考えられるからだ。日本は、歴史的経緯から歯ブラシなどのセルフケアグッズの物販が歯科医院に認められている特殊な国。これを活かさない手はない。

「物販だけで月100万円以上」の売上を続け、待合室マーケティングの草分けとなっている東京都葛飾区の細田歯科医院。靴量販店でのアルバイト経験から独自の手法を確立した中原維浩院長は、セルフケアへの提案を治療、予防と並ぶ歯科医療の柱だと考えている。そのため、本気で推奨できるものだけを選んで、医療人として本気で推奨する。

チェアサイドや待合室で歯ブラシ、歯間ブラシ、マウスウォッシュなどをおすすめするのは、歯科医療従事者として、患者さまに「処方」しているのと同じだという発想だ。

味見サービス復活なるか?

とはいえ、最終的に購入を決めるのは患者さま。いくら推奨されても、「値段が高い」「味が気に入らない」というので購入を止めたり、長続きしなかったりする。量販店と価格競争はできないので、質とサービスで勝負するしかない。

東京医科歯科大学和同会売店では、以前から「歯みがき粉の味見サービス」が好評だった。綿棒を半分に切って「二度漬け厳禁」としておくだけ。歯科専用品には、飲みこんでも問題のない天然成分由来のものが多いので、こうした手段が可能だ。歯みがき粉だけでなく、紙コップを置いておけば、マウスウォッシュの味見サービスもできるだろう。

現在は、コロナ禍でこうした味見が難しい状況だが、感染拡大が収束すれば、こうしたサービスが復活すると期待される。ホームホワイトニングのジェルも、毎日使うものである以上、味や刺激性などの好みをフィードバックできる味見サービスが有効かもしれない。

IoT技術の展開

待合室の物販を拡充する際に注意が必要なのは、「あくまで医療の一環としてセルフケアグッズを推奨する」ということ。売上のノルマや歩合を導入すると、短期的に売り上げは上がるが、歯科医療の一環としての物販という趣旨から離れてしまう。

一方、IoTが歯科のセルフケアにも導入されるようになった。例えば、電動歯ブラシとアプリが連動し、何時に磨いたのか、磨き残しの場所はここが多いなどをリアルタイムで記録することが可能になっている。データを医院で共有すれば、生活習慣を含めた指導、効果的な口腔ケアが可能になる。セルフケアグッズの発展、多様化が、医療行為としての物販の可能性を広げていると言える。

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歯科業界唯一の週刊発行媒体「日本歯科新聞」をはじめ、医院経営に特化した「アポロニア21」の出版など、長い歴史と経験を誇る日本歯科新聞社。アポロニア編集長を務める水谷惟紗久(みずたにいさく)氏に協力を仰ぎこの連載が実現しました。
水谷編集長並びに日本歯科新聞社は、忖度しないメディアとして正しい情報を素早く、わかりやすく読者提供しています。記者によるインタビューや取材記事が中心のため、どの媒体よりも情報を掘り下げ展開されているのが特徴です。今後、ミュゼホワイトニングでもこのニュースレターを皮切りに、歯科医院の未来を見据え、「患者さまから長く支持される医院づくり」をテーマに医院経営に有益な情報を発信していきます。

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