歯科衛生士の取り合いが加速
歯科衛生士不足がますます深刻になっている。養成校が新設されても、その多くで定員割れとなっており新規参入数が伸びていない状況だが、その一方で歯科衛生士を雇用したい歯科医院は急激に増えているためだ。
日本の保険制度上、歯科衛生士が在籍していないと算定できない項目が増えている。「か強診」「P重防」など、歯科衛生士が活躍する中規模以上の歯科医院を想定した予防管理関連の保険点数は、今後の歯科医療の主軸だと見なされている。
小児の育成医療から成人の歯周病管理、高齢者の在宅診療に至るまで、歯科衛生士抜きに診療の流れを想定することは難しくなっている。では、どうすれば歯科衛生士を雇用できるだろうか。
大卒平均を超える初任給、週休2日、社保完備は今や当然となり、優しい先輩がいて、研修は院内で勤務時間中に受けられる体制、などなど。求人競争激化の中、好条件が次々に打ち出されてくる。それでやっと雇用しても、一人前になるとすぐに転職……。歯科衛生士を安定的に雇用している歯科医院は、彼らが「自分の患者さま」を確保しているという共通点がある。治療メインで歯科衛生士がアシストも行っていて、合間にスケーリングを、というような従来型の歯科医院には、なかなか集まってもらえないのが実情だと見られる。
自費メニューでインセンティブを
一方、ホワイトニングなど低侵襲の審美サービスを提供している歯科医院は、歯科衛生士が定着しやすいとされる。主として、ベテラン層のインセンティブを高めやすい給与体系になっているためだ。
SPTや「P重防」で月に10万点を稼ぎ出す歯科衛生士が少なくないが、これに対して歯科衛生士に支払われているコストは、勤務医よりまだまだ低い。だからこそ「歯科衛生士主導の予防モデルは収益性が高い」とされるのだが、当の歯科衛生士にとっては長期的に勤務して、高い医業収入を上げてもそれに見合った給与に届かない、というジレンマに陥ることがある。保険診療の歯科衛生士業務では歩合を設定しにくいことも一因だろう。
これに対して、ホワイトニング→自費メインテナンスの場合は、歩合計算が互いにしやすいため、こうしたメニューを取り入れて、歯科衛生士のインセンティブを高めるという方法もある。
もちろん、こうした分野での歩合制には、過剰な営業、押し売り診療などのリスクがあるものの、歯科衛生士のインセンティブを高めるための自費メニューも一考だろう。
業界をリードする歯科情報のパイオニア、日本歯科新聞社の連載スタート!
歯科業界唯一の週刊発行媒体「日本歯科新聞」をはじめ、医院経営に特化した「アポロニア21」の出版など、長い歴史と経験を誇る日本歯科新聞社。アポロニア編集長を務める水谷惟紗久(みずたにいさく)氏に協力を仰ぎこの連載が実現しました。
水谷編集長並びに日本歯科新聞社は、忖度しないメディアとして正しい情報を素早く、わかりやすく読者提供しています。記者によるインタビューや取材記事が中心のため、どの媒体よりも情報を掘り下げ展開されているのが特徴です。今後、ミュゼホワイトニングでもこのニュースレターを皮切りに、歯科医院の未来を見据え、「患者さまから長く支持される医院づくり」をテーマに医院経営に有益な情報を発信していきます。