労務トラブルに発展!?歯科医院にも適用されるルール 〜休暇編〜

休暇を巡ってよくある労使間トラブル

前月から「当たり前のようで意外と知らない」ルール(法律)をご紹介していますが、今回は「休暇」についてご案内していきます。
早速ですが、右記のようなトラブルが発生した場合、皆さんはどのように対処しますか?本記事を読んで休暇に対する理解とトラブルの対処法を学んでいきましょう。


【事例】有給はトラブルの宝庫
Aさんから、退職の申し出とともに、残っている有給休暇を退職前に全て消化したいという希望があった。Aさんは、長年専任で仕事をしており、有休消化開始が始まるまでの少ない出勤期間で引き継ぎが完了しないため、引き継ぎが完了してから退職してほしいことを伝えると、パワハラですか?と言われトラブルになりかけている。

単に休暇といっても、法定休暇と特別休暇の二種類の休暇があります。法定休暇とは、労働基準法等に定められた休暇、特別休暇は企業が独自に定めた休暇に分けられます。

法定休暇を詳しく解説

年次有給休暇
有給は当然に付与されるという認識が強いものですが、法令上の要件があります。雇用日から6カ月継続して勤務している。全労働日の8割以上出勤している。この要件を満たしていれば、全ての労働者が対象となります。付与日数は、勤務日数や勤務時間で変化しますので、注意しましょう。なお、年次有給休暇は繁忙期などで有休申請した日が、総合的に考えて正常な事業運営を妨げる場合にのみ会社側が使用日を変更できる権利(時季変更権)もありますので、必ず希望した日に取得できるわけではないことも覚えておきましょう。
また、重要なポイントとして、2019年4月の労働基準法改正により、全ての事業主が年10日以上の有休を付与する必要がある労働者に対し、年5日の有休を取得させることが義務づけられました。取得させない場合は企業に30万以下の罰金刑が科され、違反対象となる労働者1人あたりでカウントされるため、注意して管理しなければなりません。
生理休暇…労基法第68条に「生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない」とあるため、請求があった際には対象者の身体を考慮して柔軟に対応できると良いでしょう。

産前産後休業
出産予定日の6週間前、出産翌日から8週間は休みを取得できる制度です。また、労働基準法だけでなく、育児介護休業法にも法定休暇(休業)があります。

育児休業
子が1歳の誕生日を迎えるまで取得できる休暇制度です。

子の看護休暇
子が小学校に入学するまで子の病気や怪我によって看護が必要となる場合に取得できます。

介護休暇/休業
介護「休暇」は、病気や怪我、高齢等の理由で要介護状態の家族の世話をする場合に取得できる休暇となり、要介護者が一人の場合は年5日、二人からは年10日まで取得可能です。介護「休業」は、上記理由で二週間以上常に介護が必要な場合に取得が可能となり、両親、配偶者、子、祖父母、兄弟姉妹、孫が対象となり、対象となる一世帯につき93日間を上限として取得が可能です。

特別休暇を解説

法律で定めのある法定休暇に対し、法律の定めがなく各企業が用意している制度を特別休暇といいます。特別休暇があることで、従業員が心身リフレッシュできたり、プライベートを充実させることができるため、特別休暇があるのは従業員が嬉しいだけではなく会社としても、生産性や従業員の定着率の向上、優秀な人材の確保がしやすいなどメリットがたくさんあります。

労使間トラブルの対処法

Aさんの事案から考えられるのは、退職日が決まっている場合、時季変更権が行使できないため、消化の要望を受け入れてなんとか引き継ぎを完了させることが先決です。対策として、予め就業規則に「退職日から●カ月前までに申し出ること」「退職までに引き継ぎを完了させること」「違反時は懲戒処分もあり得る」という旨を盛り込んでおくと良いでしょう。しかし、必ず守りなさいと義務付けることは法律上難しい部分ですが、事前に見えるようにルール化しておくことで、一定の効果は期待できると思われます。また、有休の買い取りも一つの手として考えられます。こちらは本人との合意が必要ですので、会社の一存で買い取りますということはできません。

トラブルを起こさないためには、予め起こり得る事案を想定し、可能な限り具体的に就業規則等でルールを定めておくことが効果的です。ルールを定めることで院長先生も対応する手間を減らせますし、退職時の手順が明確になっていることで、退職時の計画が立てやすくなります。

今一度、自院の就業規則を見直してみませんか?何かご相談があればいつでもトークノートで受け付けておりますのでお気軽にご連絡ください。
次回は、「解雇」についてお伝えします。

前回の記事は以下をご確認ください。

労務トラブルに発展!? 歯科医院にも適用されるルール

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