白くなりにくい患者さまへの対応を教えてください。
同じようにホワイトニングをしていても、色の変化をあまり感じられない方がいるのですが、その理由と特徴、対応方法を教えてください。
まずは原因を考えましょう、それから合わせて対策を!
色の変化が現れにくいという方の原因は大きく4つあります。
①そもそも歯の中に分解できる色素が少ない(既に白い)
②歯に厚みがあり、視認できるほどの変化を1度では起こしにくい
③フッ素を多用しており、ホワイトニング剤をはじいてしまう
④石灰化度が高く、ホワイトニング剤をはじいてしまう
その原因ごとの特徴等についてですが、今回は長くなりそうなので、前半・後半に分けさせていただきます。前半の今回は①・②について、次回後半では③・④について解説いたします。
【①そもそも歯の中に分解できる色素が少ない】場合
術前にA1以上の明度になっている場合、歯の中の色素自体が少ない事が予想できます。ホワイトニングでは、色素(色に影響のある有機物)を低分子化する事によって、目にとらえられる確率を下げ、歯を白く見せる方法ですが、既にある程度低分子化されていると、そこからさらに分解していくには、回数や時間がかかります。というのも、過酸化水素から発生するラジカルが漂白するのはラジカルが『たまたま色に影響のある有機物に反応した』から。色に影響のある有機物を分解すれば白くなりますが、歯の中にはたくさんの有機物が存在しています。色に影響のある有機物が小さくなればなるほど、ラジカルがその有機物に当たる確率も下がってくるため、変化を感じにくくなります。また、ある程度まで低分子化が進むと、それ以上分解するのは難しくなってくる明度(その方の『最高の白さ』)が必ずどこかにあります。
・術前の色確認でA1以上であるという事が分かったら、1度での色変化を感じにくい事や、最高の白さに近い可能性を理由を含め説明しておく。
・オフィスのみのホワイトニングよりもホームホワイトニングの併用をおすすめする。
【②歯に厚みがあり、視認できるほどの変化を1度では起こしにくい】場合
・歯に厚みがある場合や、厚みのある歯種の色を気にされている場合は、1度では色の変化が出にくいことを事前に説明しておく。
・短期間で複数回ホワイトニングを繰り返してもらう。
・ホームホワイトニングの併用をおすすめする。